「細いチェーンって切れやすそう…」
店頭でこんな声をよくお聞きします。最近は細いチェーンのネックレスが人気ですが、その繊細さが心配という方も多いようです。
実はジュエリーショップで扱うチェーンネックレスは、「引張強度テスト」に合格したものだけを使用しています。細いチェーンでも1.8kg以上の引張強度が基準とされており、普通につけている分には切れる心配はありません。
ただし、どんな太さのネックレスでも「一瞬で掛かる負荷」には強くありません。よくある切れてしまう原因は、髪の毛に引っかかって引っ張った、お子様に引っ張られた、何かに引っ掛けたといったケースです。
また「引っ張っていないのに切れた」というお話をお聞きすることもあります。これは以前に負荷が掛かって少し開いた丸カンの隙間に、たまたまチェーンが抜けてしまう位置が重なったためと考えられます。
なお、リングのデザインや留め方と耐久性の関係については前回(第2回・リング編)で詳しくお伝えしています。今回はネックレスのチェーンに絞って解説します。
ネックレスチェーンが切れる原因と丸カンの仕組み
チェーンは一般的に「丸カン」と呼ばれる小さなパーツをつなげて作られています。この丸カンの切れ目は、ロウ付け(溶接)されていないことが多いです。
「切れ目があるの?」と驚かれるかもしれませんが、これには理由があります。負荷が掛かったときにその部分から抜けることで、チェーン全体が伸びたり途中から切れるのを防いでいるのです。チェーンが伸びてしまうと固くなり切れやすくなるため、あえてロウ付けしない状態で切れ目を残しているのです。
チェーンの種類と特徴
チェーンにはさまざまな種類があります。それぞれデザインだけでなく、強度や着け心地も異なります。代表的なものをご紹介します。なお、どの種類でも太い方が切れにくいという点は共通しています。チェーンに使われる素材(K18・プラチナ・シルバー)の違いについては第1回(素材と純度の解説)でお伝えしています。
フラットなコマをつなげたデザインで、チェーンの中でも特に切れにくいことで知られています。太さによる差は大きいですが、丈夫さを求めるなら喜平がおすすめです。
喜平の2面をひねったようなデザインで、昔から愛用されているチェーンです。ベースが喜平の二面なので丈夫な部類に入ります。細めでも強度があるため、細いチェーンをお好みの方には特におすすめです。
代表的なものに「カットあずき」と「丸あずき」があります。カットあずきはキラキラとした輝きが特徴で、丸あずきはティファニーのネックレスでよく使われるシンプルな形です。強度的には強い方のチェーンです。
艶やかな美しさと高級感が特徴のチェーンです。チェーンを四角(□)にして繋げた形状で、フォーマルなシーンにもよく合います。ただし0.7mm以下の細いものは、強い負荷で四角いコマが変形し、固くなって切れやすくなることがあります。この変形は修理では直せないため、重いペンダントトップとの組み合わせは避けるのがおすすめです。
丸いボールをつなげたシンプルなデザインです。カットボールはボールに面取り加工が施されており、キラキラとした輝きが楽しめます。
一コマ一コマが花びらのように繊細で美しく、光を反射してキラキラ輝くチェーンです。コマのつなぎ目が非常に繊細なので、負荷がかかると外れやすくなるため、トップをつけずに着用するか軽いトップを合わせるのがおすすめです。
細長い四角のコマを組み合わせたチェーンで、紙を留めるクリップに似ているためこの名前がついています。面の反射が美しく、コマの大きさで印象が変わります。サントス・ドゥ・カルティエにも似ていて人気のチェーンです。中空(コマの中が空洞)の場合が多いので重いトップだとチェーンが潰れます。トップをつけずに着用するか、軽いトップを合わせるのがおすすめです。
重量感のあるコインペンダントなど、大きなペンダントトップをお使いの場合は、喜平・スクリューチェーン・その他太めのチェーンを合わせることをおすすめします。チェーンが切れてトップまで失くしてしまうのを防ぐことができます。
チェーンの強度・特徴を一覧比較
ここまでご紹介した7種類のチェーンを、強度・デイリー使い・ペンダントトップとの相性という観点でまとめました。選ぶときの参考にしてください。
| チェーン | 強度 | 細め向き | 重いトップ | 特徴ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| 喜平 | ◎ | ○ | ◎ | 最強クラス・デイリーの定番 |
| スクリュー | ◎ | ◎ | ○ | 細くても強い・細め好きに最適 |
| あずき | ○ | ○ | ○ | シンプル・ティファニー定番 |
| ベネチアン | △ | △ | △ | 輝き抜群・重いトップは避けて |
| ボール・カットボール | ○ | ○ | ○ | シンプル可愛い・比較的丈夫 |
| ペタル | △ | △ | △ | 繊細で美しい・トップなしで楽しむ |
| ペーパークリップ | △ | ○ | △ | 中空多い・軽いトップのみ対応 |
◎特に向いている ○問題なし △注意が必要
ネックレスの長さの選び方
同じデザインのネックレスでも、長さによって首元の印象は大きく変わります。「何センチを選べばいいかわからない」という方に向けて、長さ別の目安をご紹介します。なお、長さはチェーンの全長(エンドtoエンド)を指すのが一般的です。
首の付け根に沿うように着けるショートレングスです。首元がすっきり見え、デコルテを美しく演出します。フォーマルにもカジュアルにも合わせやすく、近年人気が再燃しています。首が細く見える効果もあるといわれています。
最もポピュラーな長さで、鎖骨のあたりに落ちる位置です。ティファニーをはじめ多くのブランドの定番ネックレスがこの長さです。どんなコーディネートにも合わせやすく、一番選びやすい長さといえます。
胸元より少し下に位置する長さで、ゆったりとした印象になります。ペンダントトップをつける場合はこの長さが人気です。重ね着けにも向いており、チョーカーやプリンセスと合わせると、バランスよく見えます。
長めのネックレスは、そのまま着けるほかに2重にして着けるアレンジも楽しめます。カジュアルな装いのアクセントにも、フォーマルなスタイルに上品さを添えることにも使えます。ロープタイプは結んで着けるアレンジも人気です。
お子様がいるご家庭では、42〜43cmより短めのネックレスは引っ張られたときに危険な場合があります。安全を考えると、45cm以上のゆとりある長さを選ぶのがおすすめです。
チェーンによっては長さを自由に調節できるものもあります。コーディネートやその日の気分に合わせて長さを変えられるので、1本で幅広いスタイルが楽しめます。
留め具の種類と着けやすさの違い
チェーンの留め具にも種類があります。見た目だけでなく、着けやすさや使い勝手が変わります。
最も一般的な留め具です。引き輪の大きさによって着けやすさが変わります。小さいタイプの方が目立ちにくいです。
シルバー製品や海外ブランド品でよく見かける留め具です。たっぷり地金を使用しているので高級感があります。
磁石でパチッと留まるタイプです。急いでいるときに便利で、着脱がスムーズです。後から取り付けられるパーツタイプのものもあるので、既存のネックレスに追加することもできます。
チェーンの種類と具体例
これまでご紹介したチェーンの種類が、実際のジュエリーにどのように使われているか、具体的なイメージとしてご覧ください。
丸小豆チェーンはシンプルなネックレスに多く使われています。ごく細いタイプから、大きめのコマでチョーカーとして着けるタイプまで、太さのバリエーションが豊富です。ミニマムでシンプルな美しさが持ち味で、ペンダントなしでチェーンだけで着けるスタイルも人気があります。太さが変わると印象が大きく変わるため、実物を見て選ぶのがおすすめです。
角小豆チェーンは、コマに角があるため丸小豆より光の反射が強く、存在感のある輝きが特徴です。長いコマをつなげたタイプはボリューム感があり、チェーンだけで主役になれるデザインです。
留め具にプレートがついていないタイプは、Y字スタイル(チェーンを折り返してY字のシルエットを作るアレンジ)にしても形が崩れず美しく仕上がります。チェーンの種類によってエンドパーツの仕様が異なる場合もあるので、購入前に確認しておくと安心です。
-
①
細いチェーンでも引張強度テストに合格している 普通につけている分には切れる心配はありません。ただし一瞬の強い負荷には注意が必要です。
-
②
切れにくさを重視するなら喜平・スクリューチェーンがおすすめ 細めをお好みの方にはスクリューチェーンが特におすすめです。重いペンダントトップには太めのチェーンを合わせましょう。
-
③
留め具の種類で着けやすさが変わる 引き輪・フィッシュフック・マグネットなど、ライフスタイルに合わせて選んでみてください。大事なジュエリーにはロック式キャッチが特におすすめです。
-
④
チェーンの種類と太さで、印象は大きく変わる プリンセス(42〜45cm)が最も汎用性が高い長さです。丸小豆・角小豆・喜平など種類によって輝き方や存在感が異なるので、実物を見て選ぶのがいちばんです。