「体型が変わって指輪が入らなくなってしまった」「大切にしていたチェーンが切れてそのまましまい込んでいる」「石がなんとなく揺れている気がするけど、どうしたらいいかわからない」
17年間の店頭経験の中で、こういったお声をたくさん聞いてきました。もったいないと思いながらも「修理って大変そう」「どこに持っていけばいいかわからない」「お金がかかりそう」と二の足を踏む方が本当に多いのです。
でも、じつはほとんどのケースで修理・サイズ直しができます。今回は指輪のサイズ直し、ネックレスのチェーン修理・留め具交換、石揺れの修理まで、費用の目安・できないケース・信頼できる店選びのポイントをアドバイザー目線でまとめました。日頃のお手入れ方法については前回(第7回)でお伝えしていますので、あわせてご覧ください。
修理・サイズ直しはまず購入店舗へお問い合わせください。また、シルバー製品の取り扱いのないショップではシルバーはお直しできません。シルバーは熱伝導率が高く全体が熱くなりやすいのと、加工の跡が残りやすいためです。
指輪のサイズ直し——まず号数を確認する
サイズ直しを依頼する前に、自分の指の号数を知っておくことが大切です。ジュエリーショップでは無料で計測してもらえるお店が多いので、気軽に立ち寄ってみてください。日本の指輪サイズは「号」で表し、1号から始まり1号刻みで大きくなります。海外ブランドのリングはUSサイズやEUサイズで記載されていることがあり、変換が必要な場合もあります。
また、同じ指でも朝と夜、夏と冬でサイズが変わることがあります。むくみやすい夕方に計測すると実際より大きく出るため、午前中〜昼間の計測がおすすめです。妊娠・出産・体重の変化など、ライフステージによって指のサイズは思っている以上に変わります。「以前は入っていたのに」という場合も、正確に計測してから依頼するとスムーズです。
サイズ直しの方法と費用の目安
サイズ直しには大きく分けて「小さくする」と「大きくする」の2方向があります。それぞれ加工方法が異なるため、費用や仕上がりにも差があります。
リングの腕の部分を糸鋸でカットし、希望サイズまで縮めてロウ付け(溶接)して繋ぎ直す方法です。小さくする方は地金を足さない為、サイズを大きくするよりはリーズナブルに対応できます。
費用の目安はシルバーで2,000〜5,000円程度、K18・Pt900では5,000〜15,000円程度が一般的です(店舗・サイズ差によって異なります)。
糸鋸で腕の部分をカットして慎重に希望サイズまで広げていき、広がった部分に地金を足してロウ付け(溶接)します。大きい石のついたリングは一度外してから作業します。そのため、割れやすい宝石の場合は購入店以外だと断られる事があります。
費用の目安はシルバーで3,000〜8,000円程度、K18・Pt900では8,000〜20,000円以上になることもあります。見積もりが必要な場合もありますので、日にちに余裕を持ってご依頼ください。信頼できる店舗への依頼がお勧めです。サイズ直しした跡が残る場合があるためです。
サイズ直しをすると基本、大きくしても小さくしても腕の部分が薄くなります。サイズ直しをした後に必ず磨きを掛けるためです。その為繰り返しての直しはお勧めしません。強度が弱くなり変形しやすくなります。
店舗に在籍の職人が対応する場合は1〜2週間、外部の修理工房に依頼する場合は2〜4週間が目安です。結婚記念日や特別なイベントに間に合わせたい場合は、余裕を持って早めに相談することをおすすめします。宝石の付け外しが必要なケースや、見積もりが必要なケースではさらに時間がかかることがあります。
素材別・宝石別の注意点
サイズ直しは「どの素材か」「どんな宝石がついているか」によって、難易度・費用・リスクが大きく変わります。依頼前に確認しておくと安心です。
シルバーは熱が全体に伝わりやすく、加工の跡が残りやすい素材です。そのため、シルバーの取り扱い実績がある専門店への依頼が必須です。費用は他の素材に比べて安価ですが、シルバーを扱っていないショップでは断られます。まず購入店舗に確認するか、シルバー修理対応店を探してください。
K18やプラチナは加工性が高く、サイズ直しに最も向いている素材です。ただし素材の価格が高いため、修理費用もシルバーより上がります。プラチナは比重が重く、加工時の技術も必要なため、職人の腕によって仕上がりに差が出ます。ブランド品はブランドショップへ、一般品は信頼できるジュエリーショップへ相談しましょう。
ダイヤモンド・ルビー・サファイアはモース硬度が高く熱にも比較的強いため、サイズ直し時の石外しは状況に応じて判断されます。ただし大きな石の場合は安全のために外すことが多いです。
エメラルド・オパール・タンザナイトなどは熱に非常に弱く、割れたり変色したりするリスクがあります。これらの宝石がついたリングのサイズ直しは、石を外してから加工するのが一般的ですが、石の留め方によっては外せない場合もあります。購入店以外では断られるケースも多いです。
パール(真珠)は熱・薬品・乾燥のすべてに弱い有機物です。パールがついたリングや留め具付きネックレスの修理は、パールを取り扱える専門店を選んでください。シルバークリーナーや超音波洗浄機も厳禁です。
サイズ直しができないケース
残念ながら、構造上サイズ直しが難しいリングもあります。購入前・修理依頼前に確認しておくと安心です。
ネックレスの修理——チェーンと留め具
チェーンが切れてしまったり、留め具が壊れてしまったりすることはジュエリーの修理の中でも特に多いご相談です。チェーンの種類によって修理方法が異なるため、基本的な知識を持っておくと店舗とのやり取りがスムーズになります。
チェーンが切れてしまった場合、切れた部分を溶接またはロウ付けする修理が一般的です。
また、チェーンが丸カンから外れただけでしたら、外れたチェーンを入れて丸カンを閉じるのが一般的です。細いチェーンは抜けやすいので丸カンをロウ付けすると抜けなくなりますが、他の部分に負担が掛かりチェーンの途中から切れたりする場合もあります。
ボールチェーンは切れた場合、ボールとボールをロウ付け(溶接)することが多く、ボールが並んだ状態の仕上がりになります。切れた状態にもよりますが、修理した部分は固くなりますので修理後の使用にご注意ください。
修理後の見た目は元のチェーンとほぼ同等に戻りますが、切れる時にチェーンに負担が掛かって伸びてしまい切れやすくなります。同じ箇所が再び切れた場合はチェーン全体の交換を検討するタイミングかもしれません。
チェーンの修理も信頼できる店舗への依頼をお勧めします。シルバーはリング同様シルバーの取り扱いをしている専門の店舗にご依頼ください。ティファニーでのチェーン修理は13,200円〜となっております。
引き輪(スプリングリング)が壊れた、マグネットクラスプが外れやすくなったといった場合は、留め具の交換になります。費用はシルバーなのか金・プラチナで大きく価格が変わります。店頭で交換してもらえる店舗もありますが基本、職人が交換しますので日にちが掛かります。店舗により変わりますのでまずは問い合わせてみてください。
留め具の種類には「引き輪(スプリングリング)」「カニカン」「マグネットクラスプ」「Sカン」「トグルクラスプ」などがあります。手が不自由な方やネイルをされている方には、開閉しやすいマグネットクラスプや大きめの引き輪への変更が喜ばれます。ただしマグネットクラスプは、ペースメーカーをお使いの方には不向きです。交換の際はご自身の状況も合わせてご相談ください。
石揺れ・石留め直し——気づいたら早めに
「なんとなく石がぐらついている気がする」「以前より石が動く気がする」——そう感じたら、できるだけ早めに専門店へお持ちください。石揺れは、放置すると宝石が外れてしまう前兆です。17年の経験の中で「大丈夫だろうと思って使い続けていたら石がなくなってしまった」というお客様を何人もお見受けしてきました。紛失した宝石は戻ってきません。
爪留めのリングなら、明るい場所で石を横から見て、爪がしっかり石に密着しているか確認してください。指で軽く触れてみて、石がわずかでも動く感触があれば石揺れのサインです。
パヴェ留め(細かい石がたくさん並ぶデザイン)は、一粒だけ外れると連鎖的に外れることがあるため特に注意が必要です。「光の当たり方が以前と違う気がする」「ざらつく感触がある」という感覚でも、一度専門店に見せてみることをおすすめします。
石揺れの修理は、外れかけた爪を締め直す「爪立て直し(爪起こし)」が基本です。費用は1石あたり1,000〜3,000円程度が目安です。爪が欠けたり折れたりしている場合は爪の作り直しになり、費用も上がります。
パヴェ留め・彫り留め・覆輪留めなど、デザインによって留め方が異なるため修理費用も様々です。料金を確認してから判断するのが確実です。
宝石がすでに外れてしまった場合は、石の補充(石仕入れ・石合わせ)が必要になります。同じ石を用意できるかどうかはデザインや購入時期によって異なりますので、まずは購入店舗へご相談ください。ブランドジュエリーの場合は、ブランド直営店での対応が品質面でも安心です。
修理にかかる費用の目安一覧
修理の種類ごとの費用目安をまとめました。素材・デザイン・宝石の有無によって価格は大きく変わります。あくまで参考値として、店頭では必ず見積もりをご依頼ください。
| 修理の種類 | 費用の目安 |
|---|---|
| 指輪サイズ直し(小さく) | シルバー 2,000〜5,000円/K18・Pt 5,000〜15,000円 |
| 指輪サイズ直し(大きく) | シルバー 3,000〜8,000円/K18・Pt 8,000〜20,000円以上 |
| チェーンのロウ付け修理 | 2,000〜6,000円程度(チェーンの太さ・素材による) |
| 留め具(クラスプ)の交換 | シルバー 1,500〜4,000円/金・プラチナ 3,000〜10,000円以上 |
| 石揺れ・爪立て直し | 1石あたり 1,000〜3,000円程度 |
| 石留め直し(石外れ後) | 石代別途・加工費 3,000〜10,000円以上 |
| ティファニーでのチェーン修理 | 13,200円〜(※2026年5月時点・税込) |
※上記はあくまで参考値です。必ず店頭で料金をご確認ください。
信頼できる修理店の選び方
「どこに持っていけばいいかわからない」というご相談はとても多いです。修理店を選ぶ際のポイントをお伝えします。
自分でできるケアと、お店に任せるべきこと
「このくらい自分でやっていいの?」という質問もよくいただきます。ジュエリーを傷めないための線引きをお伝えします。
- 購入したお店のアフターサービス規定を確認する(保証内容・期間)。
- 金額がすぐ出る場合と見積もりが必要な場合があります。聞いた金額以上かかる場合は連絡が欲しいと伝えておくと安心です。金額がすぐわかる修理としては通常のサイズ直しやチェーンのロウ付けなどが代表的です。複雑な加工や宝石の補充が必要な場合は見積もりが必要になり、日にちも多くかかります。余裕を持ってご依頼ください。
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①
サイズ直しはまず購入店舗へ。素材・宝石によって対応が変わる シルバーはシルバー専門店へ、ブランド品はブランドショップへ。繰り返しのサイズ直しは腕が薄くなるため避けるのが基本です。フルエタニティリングなど構造上できないケースもあるため、まずは相談を。
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②
チェーン切れ・留め具交換・石揺れは早めの対処が肝心 チェーンの切れはロウ付けで修理できます。石揺れは放置すると宝石の紛失につながります。気づいたらすぐ専門店へ。
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③
信頼できる店を選んで、料金を必ず確認する 修理は一度加工すると元に戻せません。「料金の説明なし即修理」や説明が曖昧な対応の店は避けてください。迷ったときはまず相談だけでもOKです。